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〒500-8717 岐阜県岐阜市野一色4-6-1
TEL:058-246-1111
岐阜県総合医療センター

総合サポートセンターの支援内容のご紹介

総合サポートセンターは、2020年7月に開設いたしました。
今回は、実際に患者さんやご家族の方へ支援をさせていただいて、どのような成果があったのかを一例をあげて紹介させていただきます。

総合サポートセンター 副センター長兼入院支援室室長 田中さとみ

入院前から退院後の生活を見据えた支援

2020年7月に手術治療のために入院されたAさんのお話です。歩行障害があり車いすで総合サポートセンターに来られたAさんを見た受け持ち看護師(B)は、下肢の筋力低下があり手術後の自立歩行は難しいのではないかと感じました。家族を含めた面談では、Aさん自身は寡黙で自分の意思を表出されることはありませんでしたが、複数回面談を重ねる中で、Aさんは「家で歩きたい」と小さな声で囁かれました。その言葉を聞いて看護師はもとより理学療法士をはじめ多職種で退院後に安全に自宅で生活していただくにはどのような支援が 必要であるかを協議し、入院前には四肢の動きなどの確認を行い、筋力維持・向上のためのリハビリを自宅で 行っていただきました。さらに入院時には、病棟看護師へAさんの ” 自宅で歩く “ という目標とともにこれまでに収集した情報を伝え、看護の継続が図れるようにしました。退院支援の社会福祉士の入院直後からの介入 。支援もあって、無事手術を終えたAさんは、スムーズにリハビリテーションを目的に転院されました。
8月のある日のことでした。Aさんとご家族がリハビリテーション病院を退院後に総合サポートセンターを訪ねてくださいました。車いすから立ち上がる際、心配して受け持ち看護師が手を差し伸べようとしましたが、「Bさんに 見せにきた。支えなくていい。自分でやるから」と杖を 使用しふらつくことなく立派に歩く姿を見せてくださいました。受け持ち看護師とご家族はともに目頭が熱くなりました。患者さんは力強く言いました。「リハビリは本当に辛かった。でも約束したからね。自分らしく生活するって」。

大切なのは信頼関係を築きながら支援すること

入院支援看護師は、入院前の患者さんの病気や治療に対する思いを理解し、治療に専念できるように不安を取り除き、患者さん自身が持っている精神的・身体的な潜在能力を活かせるように支援をしています。Aさんの場合、入院前に複数回総合サポートセンターにお越しいただき話をする中で看護師や多職種がA さんを思う気持ち、支えていきたいという思いが信頼関係を築くことになり、それがAさんの心を開き自分の意思を表出し、目標に向かって治療に臨める準備が整えられたと思います。
総合サポートセンターで入院支援を受けていただいた患者さんに行ったアンケートでは、約9割の方が支援に対して満足しているという回答をいただいております。今後も患者さん、ご家族のために安心して満足いた だけるような支援を実践し、皆様からのご意見をもとにさらに質の高い支援ができるように努めさせていただきます。