新型コロナウイルス感染症の治療薬
今回の【地域医療の豆知識】では、「新型コロナウイルス感染症の治療薬」についてご紹介します。
軽症か、中等症・重症かで使い分けられている治療薬。重症化リスクが高い場合に投薬を検討。
新型コロナウイルス感染症の治療薬は、大別すると「抗ウイルス薬」と「中和抗体薬」があり、発症からの日数、ワクチン接種歴、重症化リスク因子、合併症などを考慮した上で適した治療薬が選択されます。「抗ウイルス薬」は、ウイルスが新しい細胞に移っていく過程を抑える役割があり、現在、中等症から重症の入院患者対象に1種類(一般名:レムデシビル)、軽症から中等症向けに2種類(一般名:モルヌピラビル、ニルマトレルビル/リトナビル)の薬が特例承認されています。「中和抗体薬」は、ウイルスが増殖するのを防ぐために、体内に抗体を点滴投与する方法です。軽症から中等症向けに2種類の抗体を混ぜたカクテル療法(一般名:カシリビマブ/イムデビマブ)と、強い抗体1種類(一般名:ソトロビマブ)の点滴投与をする方法があります。但し、カクテル療法はオミクロン株には効きにくいため、現在は強い抗体1種類を点滴投与する方法が主流となっています。なお、軽症者の大半は自然治癒することが多いため、重症化リスクが高い場合に投薬が検討されます。
- ※掲載内容は、令和4年2月10日時点の情報です。
新薬が出てきても、重症化リスク因子を持たなくても、まだまだ油断大敵です。
厚生労働省は、65歳を目安とした高齢者、基礎疾患のある人を、コロナの重症化リスク因子としています。治療薬は、こうした方々を中心に投与を検討することになります。さらに、安定的な薬の供給が難しいことから、現在、新薬については国が買い上げ、医療機関に無償配布されているという状況です。配布は1医療施設ごとに数量が限られているため、誰もが治療薬を選択できるわけではありません。こうした状況下、オミクロン株が主流となってからは「症状は軽く、仮にかかっても今は治る時代」という声が聞こえるようになりました。薬剤師から見ると、こうした考え方はとても危険です。若い世代で基礎疾患を持たない方が肺炎で入院した際、実は血糖値や血圧が高めで入院に至り重症化したという例もあります。
繰り返しになりますが、新しい薬だけに数量も限定され、若い方でも重症化するリスクがあることを正しく理解していただきたいと思います。加えて、通常の風邪とは異なる点は、血栓を生じやすい病気ということです。急に血栓が生じたことにより、心筋梗塞や脳梗塞などの症状を呈して、命に関わる場合もあります。これからも引き続き予防に心がけていただきたいと思います。
【西尾市民病院 薬剤部主任 山本亮子(感染制御認定薬剤師)】
病院・クリニックからの
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