摂食嚥下
今回の【地域医療の豆知識】では、「摂食嚥下」についてご紹介します。
高齢者の「摂食嚥下障害」は、 食べることや飲み込むことに必要な器官の機能低下によって生じます
高齢化が進む日本では、2025年に団塊の世代が75歳以上の後期高齢者に、2040年には団塊ジュニア世代が65歳以上の高齢者になります。このような高齢化の進展が社会に与える影響は幅広く議論されていますが、医療・介護分野も例外ではありません。その中でも特に注目されているのが、高齢者の「摂食嚥下障害」の増加です。
摂食とは「食べること」、嚥下とは「飲み込むこと」を指します。摂食嚥下障害とは、食べ物を認識し「もぐもぐ・ごっくん」と処理する過程で、必要な器官が正常に機能しない状態を指します。原因として、脳卒中などの脳血管障害や神経・筋の病気などが挙げられますが、高齢者の場合は、加齢による歯の欠損や舌の運動機能低下、咀嚼力や唾液分泌の低下、口腔感覚の鈍化などが主な要因です。
この障害を抱える方には、治療やリハビリテーション、さらには食事介助などの介護が必要となります。そのため、医療機関や介護事業所などによる支援体制の強化が一層求められています。
西尾市民病院では
入院時に摂食嚥下機能を評価し、機能障害への適切なアプローチを行います
高齢の方が摂食嚥下障害を発症すると、栄養状態が悪化し、病気で入院した際には入院期間が長引くなど、負のサイクルに陥りやすくなります。このサイクルを断ち切るには、筋肉のトレーニングを通じて摂食嚥下機能を改善し、食べられる状態を取り戻すことが重要です。
当院では、入院と同時に摂食嚥下障害看護認定看護師が患者さんの摂食嚥下機能を評価し、適切な口腔ケアの方法や食事内容、摂取方法を判断します。病棟看護師と連携しながらリハビリテーションをサポートすることで、個々の患者さんに応じたケアを提供しています。また特定行為研修を修了した特定認定看護師が在籍しており、訪問医療時に医師の手順書に基づいてタイムリーな処置を行うことが可能です。
支援では、患者さん本人の意思を最優先に考えます。無理に食べさせたり、点滴に頼り過ぎたりするのではなく、動く機能を鍛え、不足する部分を補いつつ、食べられる形態や方法を模索して丁寧に対応しています。
さらに、摂食嚥下障害看護認定看護師が専門外来(第2・第4火曜日)を担当するほか、地域での勉強会を開催し、高齢者や介護福祉士、ヘルパー、市職員向けに啓発活動を行うなど、院内外で幅広い取り組みを展開しています。
西尾市民病院 看護部 渡辺佑斗
(摂食嚥下障害看護認定看護師、特定認定看護師)
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