【Care 療養支援のおはなし】嚥下機能の総合判断
生活の質や治療自体にも影響を及ぼす「嚥下障害」。多職種が連携し改善します。
01 口・舌・咽頭・食道などの器官・神経の衰えが原因。
嚥下(えんげ)とは、食べ物を飲み込み、口から胃へと運ぶ一連の動作を指します。そのためには、口・舌・咽頭・食道などの器官や神経が、連携して働くことが必要になります。
中高年や高齢になり、各機能が衰えると起こるのが、嚥下障害(嚥下がスムーズに行われない)です。特に高齢の方には多く、誤嚥や窒息を起こすリスクが上がります。また、口から食べられないと、低栄養になるので、点滴に頼ることになります。そうなると行動範囲も狭くなり、生活の質が大きく低下し、病気の治療にも影響がでます。命の源である「口から食べる」機能を守るために、当院では多職種が連携しサポートを行っています。
02 病棟看護師の気づきから始まる多職種の協力・連携。
患者さんの嚥下機能障害のある・なしは、食事介助や観察を行う病棟看護師の気づきが基になります。すぐに主治医に伝達し、嚥下訓練の必要性が認められると、次にはリハビリテーション科医師に繋ぎます。
リハビリテーション科医師により訓練が必要と判断されると、嚥下内視鏡検査が耳鼻咽喉科医師に依頼されます。喉の機能の確認や認知機能の確認、外観的異常なども併せて診察がされます。検査には言語聴覚士も同席し、現状の嚥下機能、障害の程度が総合的に判断されます。その結果、嚥下訓練が必要となると、言語聴覚士が計画を立て、嚥下訓練が開始されます。
こうした一連の診療の流れの中では、診療放射線技師、病棟や外来の看護師なども関わりますので、多職種・多部署が患者さんの嚥下機能の改善のため協力・連携しています。
【COLMUN】嚥下障害は、高齢者にとって見逃してはならないリスクです。
嚥下障害があると、生活の質の低下、低栄養・脱水症、誤嚥・窒息といった状態になりやすく、なかには誤嚥性肺炎で、何回も入退院を繰り返される方もいらっしゃいます。そうすると予備能力、免疫力が落ち、段々と重度になる危険性が出るなど、嚥下障害は、高齢者にとって見逃してはいけない状態です。
大切なのは、より早く見つけること。摂食嚥下障害看護認定看護師の私は、いつも患者さんの側にいる病棟看護師への教育・研修、地域の方への研修、相談受付などに力を注いでいます。今後は、嚥下障害や機能訓練に関する仕組みづくりを行い、さらには、院内での専門的な組織づくりにまで持っていければと考えています。