自覚しにくい睡眠時無呼吸症候群。気になる人はセルフチェックを。
あなたは睡眠時無呼吸症候群ですか? この質問に自信を持って「違う」と答えられる人はそれほど多くないと思います。睡眠時無呼吸症候群の無呼吸は、眠っている間に起きるものであり、通常自分では気づけないからです。しかし、睡眠時無呼吸症候群は、治療をせずに放っておくと、重大な事故や突然死にも繋がるとても怖い病気です。少しでも気になることがある人は、まずはご自身で睡眠時無呼吸症候群の可能性をチェックしてみましょう。
睡眠時無呼吸症候群とは
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、簡単に言えば「寝ている間に何度も呼吸が止まったり止まりそうになったりする病気」です。
医学的には、10秒以上息が止まっている状態を「無呼吸」、もう少しで止まりそうな状態を「低呼吸」といい、睡眠中の無呼吸・低呼吸の回数と昼間の眠気などの自覚症状を合わせて、病気の有無や重症度が診断されます。
睡眠時無呼吸症候群には、上気道(空気の通り道)が狭くなる「閉塞性」と、呼吸自体が停止する「中枢性」がありますが、ほとんどの患者さんは「閉塞性」です。閉塞性睡眠時無呼吸症候群は、主に肥満やあごの小さい人、舌が大きい人などに発症します。
睡眠時無呼吸症候群の危険性
閉塞性の睡眠時無呼吸症候群では、睡眠中の無呼吸や低呼吸によって引き起こされる「眠気」と「合併症」に注意が必要です。
まず、睡眠時無呼吸症候群になると眠りが浅くなるため、日中に強い眠気を感じたり、集中力が低下したりします。
こうした状態で日常生活を送ることは、交通事故や労働災害に繋がるためとても危険です。
実際、睡眠時無呼吸患者さんによる重大事故は日本をはじめ世界中で報告されています。また、睡眠時無呼吸症候群になると体内が低酸素状態となり、心臓や血管に強い負担をかけます。その結果、高血圧や不整脈、糖尿病などになるリスクが高くなり、最悪の場合、脳卒中や心筋梗塞によって命を失うこともあるのです。
睡眠時無呼吸症候群のセルフチェック
睡眠時無呼吸症候群は寝ている間に起きる病気です。そのため、発見が非常に難しく、日本国内においては400〜500万人の推定患者数に対し、40万人程度しか治療を行っていないとさえ言われています。
一般的に、睡眠時無呼吸症候群の患者さんには、肥満傾向や顎の小ささに加えて、次のような症状がみられます。
皆さんも当てはまるものがないかチェックしてみましょう。
Check!
大きないびきを頻繁にかく
寝ている間に息が止まっていると指摘されたことがある
日中に強い眠気を感じたり、不意に居眠りをすることがよくある
睡眠時間は足りているのに倦怠感や疲労感が残る
夜間何度もトイレに起きる
集中力や記憶力の低下を感じる
睡眠時無呼吸症候群の検査
ご自身やご家族に気になる症状がある場合は、早めに医療機関を受診し、専門の医師に相談することが大切です。医療機関では、問診をはじめ、携帯型の睡眠モニターを使った簡易検査や睡眠ポリグラフ検査という精密検査を行って診断します。
どのような検査が可能で、どんな治療に対応しているかは医療機関によって異なりますので、地域医療機関の情報をチェックしてみましょう。
記事監修:西尾市民病院 耳鼻咽喉科 部長 田中 宏明
いかがでしたか。今回は、心配しなくてもいい不整脈と、治療すべき不整脈についてご紹介しました。さらに詳しく治療法などを知りたいという方はぜひ、WEBセミナー「睡眠中に呼吸が止まってませんか?」へどうぞ。
参考文献
■日本呼吸器学会「呼吸器の病気 睡眠時無呼吸症候群」
https://www.jrs.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=42
■国立循環器病研究センター 循環器病情報サービス「睡眠時無呼吸症候群と循環器病」
http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamphlet/general/pamph101.html