種類によりリスクが異なる。健康診断などで、不整脈が見つかったら?
不整脈は自覚症状がなく、健康診断の心電図検査で見つかることがよくあります。ほとんどの不整脈はそれほど心配する必要はありませんが、なかには治療の必要な不整脈もあります。どんなタイプの不整脈が見つかったら治療が必要か、あらかじめ頭に入れておきませんか。
不整脈ってどんな病気?
不整脈とは、脈が速く打ったり、ゆっくり打ったり、不規則に打ったりする状態。心臓を動かす電気の発生異常などが原因で発生します。不整脈は健康な人でもおこりますが、高齢者や高血圧、肥満といった心臓病の危険因子を持っている人はなりやすいといわれています。
不整脈には大きく分けて3種類があります。
1.頻脈 脈が速くなり、1分間に100以上になる場合。
動悸やめまいがすることがあります。
2.徐脈 脈が遅くなり、1分間に50以下になる場合。
運動機能が低下して、息切れしたり疲れやすくなったりします。
3.期外収縮 脈が飛んでしまうなど不規則になる場合。
胸がドキンとすることがあります。
心配のない「軽い不整脈」とは?
不整脈には病気に由来するものと、そうでない、生理的なものがあります。
たとえば運動や精神的興奮、発熱により脈が速くなりますが、これはだれにでも起こる生理的な頻脈といえます。また、症状のない徐脈や脈がたまに飛ぶ程度では、ほとんど心配はありません。
そのほか、安静にしているときに起こる頻脈のうち、数十秒から数分の間に脈が速くなるけれども、脈拍数は1分間120までであり、その後徐々に遅くなる場合は心配ありません。
いずれにしても、不整脈が見つかった場合、何が原因で起こっているか、元に心臓病がないかなどを確認することが大切です。
命に関わる「病的な不整脈」とは?
反対に、危険な不整脈はどんなタイプでしょう。
まず一つは、極端な頻脈が起こった場合です。「何もしていないのにふうっとする」「急に意識がなくなる」「失神する」という場合、極端な頻脈が起こった可能性があるので、できるだけ早く病院を受診することが必要です。
次に、脈が遅くなり過ぎる場合。「脈拍数が1分間40以下で、体を動かす時に、強い息切れを感じる」場合、心不全を起こす可能性があるので、早急に受診しないといけません。
三つ目は、突然、動悸が始まる病的な頻脈(頻拍)です。多くは脈拍数が150から200前後になり、血圧が下がり、脈が触れにくくなり、同時に息苦しくなって冷や汗が出ます。とくに、この「頻拍」が心室から出ている場合は要注意です。心室は心臓から全身に血液を送る場所なので、そこで頻脈が起こると、十分に血液を送り出すことができなくなります。
すぐに危険ではないが、治療の必要な不整脈とは。
ここまで紹介したのは、すぐ受診すべき危険な不整脈です。それとは別に、命に関わることはないけれど、治療の必要な不整脈があります。それが「心房細動」です。
心房細動は、心房の中で電気信号が乱れ、収縮するリズムが不規則になって細かく震えるようになる状態。この状態が続くと、心臓の中で血液の流れが滞るようになり、血栓(血の塊)ができやすくなります。その血栓が脳の血管に運ばれて詰まると、脳梗塞を起こすことがあります。
このようにして起こる脳梗塞は、比較的太い血管が詰まるため、片麻痺や失語症など重い後遺症を残す可能性が高くなります。
また、この血栓が血流にのって冠動脈に運ばれると、心筋梗塞を引き起こします。こうした重篤な病気を防ぐために、心房細動を早期に発見して治療することが大切です。
記事監修:西尾市民病院 循環器内科 部長 湯淺大祐
いかがでしたか。今回は、心配しなくてもいい不整脈と、治療すべき不整脈についてご紹介しました。さらに詳しく治療法などを知りたいという方はぜひ、WEBセミナー「明日は我が身かも?〜知っておきたい心房細動〜」へどうぞ。
参考文献
■日本心臓財団「不整脈Q&A?こんな症状があったら不整脈?」
https://www.jhf.or.jp/publish/heartnews/vol58.html
■国立循環器病研究センター病院「不整脈」
http://www.ncvc.go.jp/hospital/pub/knowledge/disease/arrhythmia.html#01
■国立循環器病研究センター・循環器病情報サービス「怖い不整脈と怖くない不整脈」
http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamphlet/heart/pamph06.html