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【Cure 病気のおはなし】心不全

心臓のポンプの機能が衰え、ちゃんと働かなくなり、必要な血液を全身に送れなくなります

01 高齢者に多く見られる拡張機能障害による心不全

心臓のポンプには、血液を送り出す「収縮機能」と、全身から戻ってきた血液を取り込む「拡張機能」があります。ひと昔前は、主に収縮機能が弱ることで心不全が起こるとされていました。しかし、今は心臓(左心室)が硬く、広がりにくくなり、血液が戻りづらくなるために、心不全が起こることもわかってきました。これは「拡張機能障害」といわれるもので、高齢者に多く見られます。

心不全の診断は、血液検査、心エコー検査などを組み合わせて行います。血液検査では、心臓の負担のかかり具合を調べ、心エコー検査では、心肥大があるかどうか、すなわち「拡張機能障害」の有無について確認できます。このほか、不整脈が疑われる場合は24時間の心電図、1週間連続のホルター心電図などを行います。

02 進化のめざましい薬物療法。心臓を薬でしっかり保護

心不全の治療は薬物療法が基本になります。近年、薬物の進歩はめざましく、診療ガイドラインに基づく標準的治療として4種類の薬が定められていて、素晴らしい4種類という意味を込めて、「ファンタスティック4」と呼ばれています。当院では、患者さんの病状に合わせ、この4種類を組み合わて適切な処方をしています。

〈ファンタスティック4〉
①βブロッカー(β遮断薬):心臓の負担を軽減する薬
②ARNI(アーニ/アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬):心臓を保護する薬
③SGLT2阻害薬:心臓、腎臓を保護する薬
④MRA(ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬):心臓を保護する薬

【Message】定期的な健診で、早期に心不全を見つけましょう

心不全の症状はむくみや息切れですが、多くの人が「年のせいだから」と放っておいて、気付いたら心不全がかなり進行している場合もあります。また、むくみ、息切れなども、ある程度病状が進んだ段階で出てくるもので、最初は症状が全く現れないことも多くあります。そうした早期心不全を発見するために大切なのは、定期的な健康診断です。たとえば、レントゲンで心臓がちょっと大きくなっていたり、心電図で異常が見つかったり、聴診で心雑音が聞こえたりすると、心臓の病気が疑われ「要精査」になります。しかし、患者さんの中には「要精査」でも症状がないため、そのまま放置される方も結構いらっしゃいます。受診時には、すでにかなり悪化していることも多く、そうならないためにも定期的な健診と病院受診を心掛けてほしいと思います。




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