【Cure 病気のおはなし】大腸がん
がんのなかで患者数は第1位、死亡率は第2位。但し早期発見できれば完治が望めます。
01 初期の大腸がんでは自覚症状がほとんどない。
大腸がんは、長さ約1.5mの大腸(結腸・直腸)の内側の粘膜に生じるがんです。大腸がんは、がんのなかで日本で最も患者数が多く、死亡数では肺がんに次いで2番目に多くなっています。
大腸がんが進行して腸の内側の空間が狭くなると、便が通りにくくなり便秘や便が細くなるなどの症状が現れます。また、水分を吸って柔らかくなった分だけが狭くなった部分を通るので、下痢になることもあります。さらに、がんがある場所はもろく出血しやすいため、便に血が混じることもあります。これらの症状はがんが進行してから現れやすく、初期の大腸がんでは自覚症状がほとんどありません。そのため、40歳以上の方は、年に1回大腸がん検診(便潜血検査)を受けることが大切です。
02 ステージの早い段階で発見されれば、負担の少ない治療で完治を望める。
大腸がんはの進行度はステージ0~4の5つに分類されており、「がん細胞が大腸の壁のどれほど深くまでひろがっているか」、「リンパ節への転移」、「他臓器への転移」の3つのポイントから、分類されます。治療は切除が基本で、早期であれば内視鏡によって、進行すれば開腹手術や腹腔手術によってがんを切除します。さらに進行すると抗がん剤治療や放射線治療を組み合わせた形となります。
大腸がんは、早期に見つかれば内視鏡的治療など負担の少ない治療で完治することが多い病気です。しかし、進行してしまうと、他臓器への転移や合併症などのリスクが高まり、治療に伴う負担も増えるばかりか、完治の可能性も低下してしまいます。だからこそ、早期発見のためには大腸がん検診を受け、できるだけ早く見つけることが肝要です。
【Message】患者さんの背景を考え、より良い治療に全力を注ぎます。
当院に限ったことではないかも知れませんが、認知機能が低下されていたり、複数の基礎疾患をお持ちの高齢の患者さんが多く、標準的ながん治療が適応とならない場合もあります。そうした際にも、生活背景や家族背景などにも配慮して、ご本人にとって一番良い治療ができるように全力を注いでいます。
また、診療をするなかで最近気になっている点は、進行がんで見つかるケースが増えていることです。コロナ禍で定期的ながん検診を受けられなかったことや受診控えも要因ではないかと考えています。皆さんには、今一度ご自身の健康を見つめ直す機会として、がん検診を活用していただきたいと思います。
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