中日新聞LINKED 地域医療ソーシャルNEWS
WEBマガジン

サイト内検索

〒445-8510 愛知県西尾市熊味町上泡原6番地
TEL:0563-56-3171
Beyondキャンペーン
病院の〈知識〉を生活者の〈知恵〉へ
  • 慢性閉塞性肺疾患
  • 呼吸器

【Cure 病気のおはなし】慢性閉塞性肺疾患 COPD

40歳以上、長期喫煙者は要注意。咳・痰、息切れがあったらすぐに受診を。

01 長期喫煙が背景の生活習慣病。でも進行すると肺以外にも影響。

一般に、よく知られていない、でも実は罹っている人が多い病気はさまざまありますが、慢性閉塞性肺疾患(COPD)もその一つです。

主な原因は、何と言っても喫煙。有害物質が含まれる空気を、長期間に亘り吸い込むことで、その刺激によって気道に炎症が生じ、肺の機能に障害を起こしてしまいます。その意味では、喫煙習慣を背景に、中高年に発症する進行性の生活習慣病ということができます。

しかし進行すると、全身の炎症、骨格筋の機能障害、栄養障害、骨粗鬆症といった併存症を伴うなど、肺以外の症状が、重症度に影響を及ぼします。

02 残念ながら治らない病気。治療で、機能低下を緩やかに。

診断のためには、肺機能検査(スパイロメトリー)を実施します。この検査で慢性閉塞性肺疾患と確定した場合、胸部のX線検査やCT検査などの画像診断、心機能評価、血液検査などにより、病状を詳しく調べていきます。

治療においては、まずは禁煙が重要です。当院の禁煙外来担当医と連携して、禁煙のための治療を行います。気道の炎症に対しては、吸入による気管支拡張剤を投与します。また、気管支喘息も合併し、入退院を繰り返すときは、ステロイドを追加しての吸入投与となります。さらに、補助的な意味合いで呼吸リハビリテーションを行うケースもあります。

喫煙による慢性閉塞性肺疾患は、基本的には治らない病気です。早めに治療を開始して現状を維持し、機能低下をできるだけ緩やかにすることをめざしていきます。

【Message】長く続く咳や痰、息切れ…。年齢のせいとは限りません。

原因の90%以上が喫煙といわれている慢性閉塞性肺疾患。特に高齢の方は咳や痰、息切れがあっても、年齢的なものだと思ってしまい、病院を受診することが少ない病気です。

しかし、この病気は治らない病気であり、加えて、自己管理が重要です。症状を増悪させないために、禁煙はもちろん、風邪やインフルエンザなどの感染症に充分注意する、軽く歩くといった適度な運動をするなど、日常生活の注意点は多々あります。合併症でいうとうつ病などもあります。

40歳以上で長期に亘る喫煙者は、気になる症状があれば迷わず呼吸器内科を受診していただきたいですね。なお、喫煙の他、粉塵や化学物質の吸引が原因のケースもあります。お心あたりの方はぜひ当科にご相談ください。