【Cure 病気のおはなし】腰痛(いつの間にか骨折)
高齢女性が抱える腰痛。その原因の多くは、「いつの間にか骨折」です。
01 普段の生活のなかで起きる「いつの間にか骨折」。
高齢の方で、強い腰痛がずっと続いているという方はいらっしゃいませんか? 例えば、立ち上がるとき、ベッドや布団から起き上がるとき、寝返りをするときなどに痛みを感じ、さらに、座っても痛い、座るのが痛いなど、動くときにこれらの症状があったら、脊椎(せきつい)圧迫骨折が考えられます。
この骨折の特徴は、転んだり、怪我をして大きな外力を受けたわけではなく、普段の生活のなかで、くしゃみをしたり、ちょっと重い物を持つだけで、「いつの間にか骨折」をしてしまうというものです。圧迫骨折を起こす一番の原因は、骨の量(骨量)が減って骨が弱くなる骨粗しょう症です。
02 骨折の治療は2~3カ月。骨粗しょう症の治療は一生です。
脊椎圧迫骨折かどうかは、X線・CT・MRIといった検査で判明できます。軽度の骨折であれば、コルセットで固定し、前屈を禁じて比較的安静にします。重度になってくると、ギプスや装具で固定して安静にします。長期臥床が必要になることもあります。いずれにしても、骨折自体は、2~3カ月で治っていきます。
一方、骨折の原因が骨粗しょう症であると確定するには、腰の骨と大腿骨(股関節)の骨量(骨密度)を調べる検査が必須です。そして、腰や大腿骨のいずれかの骨密度が、70%を下回った場合、骨粗しょう症と診断され治療が始まります。
骨粗しょう症治療の目的は、骨強度を高めて骨折を予防し、QOL(生活の質)を保つことです。骨量の減少具合、年齢などによりますが、治療法の中心は主に薬物治療で、食事療法と運動療法を並行して行っていきます。
【Message】定期的な骨量(骨密度)検査を受け、寝たきりや要介護を回避しましょう。
腰痛は、ぎっくり腰であれば数日くらいで治ります。しかし、脊椎圧迫骨折の場合は、1カ月、2カ月と痛みが続きます。単なる腰痛と放置せず、病院で診察・診断を受けることをお勧めします。
また、圧迫骨折の原因である骨粗しょう症は、「骨がスカスカ」の状態であり、「いつの間にか骨折」がいつ起こってもおかしくありません。骨粗しょう症自体に痛みはありませんが、治療は一生続きます。だからこそ、50代に入ったら、定期的に骨量(骨密度)検査を受けるなど、常にチェックが大切。直接的に生命を脅かす病気であり、骨粗しょう症による骨折から寝たきりになるなど、介護が必要になってしまわないよう充分に注意しましょう。