【Cure 病気・治療のおはなし】心不全
心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、症状がだんだん悪くなり、生命を縮める病気です。
01 超高齢社会に懸念される、心不全パンデミック。
心臓は全身に血液を送り出すポンプとして、休むことなく働いています。その機能が徐々に悪化して、心臓から充分な血液を送り出せなくなり、命を縮める病気が心不全です。心不全になると、疲労感や手足の冷えなどが生じると同時に、血液が心臓に戻る機能も弱まるため、血液が滞り、むくみや息切れが起こります。心不全になる原因はさまざまで、心筋梗塞や狭心症、動脈硬化、高血圧、心筋症、不整脈などが考えられます。
現在、日本では高齢者の増加に伴い、心不全などの心臓病を持つ患者さんが増加し続けています。全国の入院患者は毎年1万人ずつ増加し、2030年には130万人に達すると推計されています。このように心不全の患者さんが大幅に増加することを「心不全パンデミック」と呼び、地域の医療対策が急がれています。
糖尿病の怖さは、病気の進行とともに合併症が生じる点です。特に発生しやすい合併症としては、神経障害、網膜症、腎症の3つがあり、3大合併症と呼ばれています。他にも、足の壊疽(えそ)や脳卒中、狭心症など、身体・生命に関わるさまざまな合併症があります。
02 心不全の重症度に応じて、適切な薬を組み合わせます。
心不全患者さんの増加は、当院でも顕著に見られます。肺に水がたまったり(肺水腫)、胸に水がたまったり(胸水貯留)、呼吸状態が悪くなるなどして、救急搬送されてくる患者さんも多くいらっしゃいます。
心不全の診断や重症度の評価は、身体所見と胸部X線撮影、血液検査、心電図、心エコーなどで行われます。心不全と診断された場合、治療の基本は薬物療法です。心臓の負担やむくみを取る薬、心臓の働きを強める薬など、数種類の薬を状態に応じて組み合わせます。また、心不全の原因が明確な場合、それを解消するための治療(たとえば、狭心症に対するカテーテル治療など)も同時に行います。
【Message】塩分摂取を控え、できるだけ薄味の食生活を。
心不全の代表的な兆候は、動悸、息切れ、むくみなど。「仰向けで寝ようとすると、息が苦しくて眠れない」という症状は、心不全の疑いがあります。こうした自覚症状が出てきたら、できるだけ早く受診して、適切な治療を始めることが大切です。今はいい薬が開発され、入院して点滴治療を受けなくても、飲み薬で症状をコントロールできるようになってきました。
また、心不全を予防するには、高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満などの生活習慣を改善することが重要です。食生活で心がけてほしいのは、塩分を控えることですね。とくに愛知県は赤味噌が使われるなど、塩分の摂取量が多い土地柄ですから、意識して薄味の食事を取るようにしてください。