【Cure 病気のおはなし】心房細動
心房と呼ばれる心臓の2つの部屋が小刻みに震え、機能が低下する不整脈の一つです。
01 加齢に伴い発症リスクが高まる、心房細動。
心臓には4つの部屋(右心房、右心室、左心房、左心室)があり、ポンプとして動く細胞と、それを命令する電気の線があります。正常な状態では、右心房にある洞結節から左心房へ電気信号(心臓を動かす命令)が出され、房室結節を通して心臓全体に伝わり、ポンプの役目を果たします。しかし、この洞結節の部分が弱り、うまく電気が伝わらなくなると、洞結節以外から異常な電気が発生して心房全体が無秩序に興奮するようになります。これが心房細動です。
心房細動になると、脈の乱れや胸の不快感、動悸、めまい、疲労感などの症状が現れます。
02 心房細動で怖いのは、重い脳梗塞を起こすこと。
心房細動が続くと心臓のポンプの力が低下し、心房内で血液が淀んで血のかたまり(血栓)ができやすくなります。 この血栓が脳に運ばれ血管を詰まらせると、脳梗塞になります。とくに心臓を原因とする脳梗塞は「ノックアウト型」と呼ばれ、重症化しやすく、重い後遺症を残すことがあります。
心房細動の治療では、脳梗塞の原因となる血栓を防ぐため、飲み薬の抗凝固薬(血液がサラサラになる薬)を使ったり、心房細動の発作を抑制する抗不整脈薬を使ったりします。また、心房細動の根治をめざす治療として、カテーテルアブレーションがあります。これは、カテーテルと呼ばれる細い管を足のつけ根などの静脈から心臓まで到達させ、心房細動の原因となる部位を冷凍したり、焼灼したりする治療法です。
【Message】心房細動は「心不全」とも深い関わりがあります。
心房細動の診断では、心不全との関わりに注意するよう心がけています。というのも、心房細動と心不全は密接な関わりがあるからです。心不全患者さんは心房細動を起こしやすく、心不全が悪化するほど、心房細動になる確率も上がります。重症な心不全患者さんのうち、約半数は心房細動を発症しているという報告もあります。
心房細動は、加齢の他、高血圧、弁膜症、狭心症といった心臓の病気、糖尿病、飲酒や喫煙の習慣があると、発症リスクが高まります。こうしたリスクのある人は生活習慣を見直し、血糖値や血圧を適切にコントロールすることが大切です。また、定期的に心臓の検査を受け、早期発見・早期治療へ繋げるようにしましょう。