- 病院広報&ヘルスケアビジネス広報.Lab
- DX(デジタル変革)による病院の組織広報の新時代
DX(デジタル変革)による病院の組織広報の新時代
- 執筆者
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- 黒江 仁
- 合同会社プロジェクトリンクト事務局 職務執行者
キーワード
病院の組織広報は、DX(デジタル変革)時代に突入しています。 というのは、病院事業における厳しいビジネス環境の変化には、従来のような全対象者向けの情報発信ではなく、関係のあり方が異なる対象者それぞれとの、「one to oneコミュニケーション」を目的とした情報発信が、不可欠となってきたからです。 ここでいうDXとは、データとデジタル技術の活用です。導き出されるのは、対象ごとのone to oneコミュニケーションによる「オーダーメード」の関係づくり。すなわち、対象によって異なる伝えたいポイント、相手が求めるポイント、その双方のニーズに適合した情報を創り、伝えることで、対象者それぞれとの直接的な関係づくりを可能とします。 具体的にいうと、地域住民・患者・地域医療機関・地域の介護・福祉事業所など、明確に分類されている病院事業の対象者を、さらに細分化する「セグメント」。例えば、患者とは、言うまでもなくみな同じではありません。入院治療中で退院困難事例を抱えている人・いない人、外来診療受診者で介護保険がある人・ない人…。つまり、何らかの指標を決め、それに基づき患者のなかでグループを区切ることがセグメントです。セグメントした後に重要となる、グループごとへの適切な情報提供は、専門的な人材を多数登用するのではなく、「自動的」に実施する――。こうした仕組み、機能の付加が、今日のICTでは可能になっているのです。 このような背景にあって、病院の組織広報においては、DXはもはや必然ともいえるのではないでしょうか。one to oneコミュニケーションによる、オーダーメードの関係づくり。その仕組みや機能を持つCTIの導入。病院の組織広報は新しい時代を迎えています。
病院の組織広報を、「one to oneコミュニケーション」に進化させる
病院の組織広報は、one to oneコミュニケーションが大切です。 その理由は、病院として関係構築を果たすべき対象者が多岐に亘り、対象者ごとに関係のあり方が異なるからです。 たとえば、これまで情報発信に活用していた印刷物、Webサイト(ホームサイト)は、全対象者に向けてという形であり、対象者ごとのコミュニケーションという形ではありませんでした。つまり、対象の属性ごとに、こういう情報を届ける、そこで情報を受けた人たちが、どのように理解し、疑問を持ったか、それに対して、的確な情報でまた答える、発信するといった重層的な形になっていないのです。 こうした形では、複雑なビジネス背景、さらに、一般の人から医療従事者まで、多様な属性に分かれる人たちを相手とする病院事業において、全対象の興味・関心を引くことは容易ではありません。また、対象ごとの反応も解り難いものでした。そうではなく、病院の組織広報をone to one、すなわち、対象者の属性に合わせた情報発信に進化させ、それぞれに関係を築いていくことが重要になっているのです。
「オーダーメード」であってこそ、目的である関係構築を果たす
病院の組織広報では、対象者に合わせたオーダーメイドの関係づくりが肝となります。 というのは、病院事業は、属性の異なる対象者を持ち、病院にとって期待する行動が、属性ごとに異なるからです。 例を挙げると、ある病気について自院の治療活動を伝えたいとき、地域に住む一般の人たちと、地域の医療機関の医師では、伝えたいポイントは違います。また、相手が、こちらに問いたいポイントも違います。そうした双方のニーズに適合した情報を創る、伝えるには、全対象向けの情報ではなく、対象ごとに、伝えたいこと・知りたいことが、直結する情報を創り、伝えてこそ、成果を得ることがきます。 以上の理由から、病院の組織広報には、「オーダーメード」の発想、方法論こそ、本来の目的である関係構築に繋がります。対象者に、全対象向けの情報のなかから、自分が必要とする情報を選び出す、という行為をさせるのではなく、最初からその人向け、その属性向けの情報を発信する、対話をする。そのためには、これを実現する仕組みを、どう取り入れるかが鍵となってきます。
特定の指標で対象者をさらに細分化し、自動的に情報を発信するICT
病院の組織広報におけるオーダーメードの関係づくりには、ICT(情報伝達技術)導入が要です。 というのは、オーダーメードの関係構築には、「セグメント」、つまり、ニーズに合わせて対象をまず分ける、という行為が必要だからです。もちろん、病院事業は、地域住民・患者・地域医療機関・地域の介護・福祉事業所など、対象がすでにはっきりと分類されています。そのうえで、さらに細分化するという意味です。 一例を挙げると、患者とひと言でいっても、入院治療中で、退院困難事例を抱えている人・いない人、外来診療受診者で、介護保険がある人・ない人等など、背景や状況が異なります。このように何らかの指標に基づいて、グループを区切る――セグメントする。 セグメントしたならば、グループごとにきちんと適切な動線に導く、あるいは、解決策の選択肢を示すための情報提供が肝心ですが、これを「自動的」に行うことができる。こうした仕組みが、今日のICTでは可能になっているのです。 One to oneコミュニケーションに基づく、オーダーメードの関係づくりは、多くの専門的な人材投入を必要としない、ICT導入が極めて有効です。ポイントは、セグメントと自動化。自院の特長を、より必要性の高い人々に向けて届けることを実現します。
one to oneコミュニケーションで、新たなビジネスモデル創造へ
病院の組織広報には、one to oneコミュニケーションにより、対象ごとに関係を築いていくことが重要です。 理由は、これまでの病院の組織広報は、対象者それぞれが、自らに合った情報を、選び出さなくてはならなかったからです。そうではなく、情報発信自体に、オーダーメイドの発想、方法論を持つ。それを可能にするのが、ICTの導入です。 例えば、セグメント――明確化されている病院事業の対象者を、さらに、何らかの指標に沿ってグループに細分化する。さらに、グループごとに適切な情報を、人材を投入することなく、自動的に発信する。 まとめると、データとデジタル技術を活用するICTの仕組み、すなわちDX(デジタル変革)を、病院の組織広報に組み込むことで、オーダーメードのone to oneコミュニケーションを実現。さまざまな対象者との望ましい関係をもとに、病院の厳しいビジネス環境の対応する、新たなビジネスモデル創造に一歩進みます。