- 病院広報&ヘルスケアビジネス広報.Lab
- Public Relation Managementこそ、病院の組織広報の戦略
Public Relation Managementこそ、病院の組織広報の戦略
- 執筆者
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- 黒江 仁
- 合同会社プロジェクトリンクト事務局 職務執行者
キーワード
※Public Relation Management:対象者との望ましい関係づくりのマネジメント 組織広報は、インターネット技術によるコミュニティサイトSNSの登場で一変しています。 従来の情報発信は、経験・技術・コストが必要であり、吟味されたものだけが発信され、受信者側も対価のかかる貴重なものとして利用していました。それがSNSでは、誰でもが容易に情報を創り、伝えることが可能。双方向のコミュニケーションも実現させています。反面、受信者は、さまざまな情報を瞬時に取捨選択し、不必要と判断した情報は簡単に無視。つまり、受信者主体の視点でないと受け入れられません。 そうした世界で病院の組織広報、すなわち、さまざまな対象者と望ましい関係を築くには、マネジメント能力が不可欠です。具体的には、自院の把握/ペルソナ(人物像)と情報発信のゴールを設定/価値ある情報を創り発信/有益な情報発信者としての評価獲得/ナーチャリング(育成)の発想で、関係づくりを段階的に高め/コンバージョン(予め想定した目標達成)を確実なものとする。これをPDCAサイクルとして回すことです。 価値ある情報を創り、伝え、望ましい関係をつくるという、病院の組織広報の基本は変わりませんが、ICT技術の活用、コミュニティサイトSNSがもたらした成果を、組織広報戦略に取り込むには、マネジメント能力があってこそ可能となります。
コミュニケーションを介した関係づくりには、マネジメントが必要
病院の組織広報では、Public Relation Management/目的であるコミュニケーションを介した関係づくりを、マネジメントすることが必要です。 なぜなら、病院の組織広報は、不特定多数の人たちに情報を発信するのではなく、特定の人たちに情報を発信する手法です。特定である以上、対象者がどういう人(グループ)か、相手の状況や背景が想定でき、属性ごとに適切な情報を発信することが可能だからです。 自院のビジネスモデル確認、対象である属性理解、属性ごとに必要な情報整理、期待する行動の決定。さらにもう一歩、期待する行動のある・なしのチェック。このPDCAを回すことで、関係づくりの管理が可能になります。 病院事業は、特殊(活動内容・形態、法制度、商圏など)で複雑なビジネス構造のなかで展開されています。医療制度を踏まえた受診行動や、地域性を勘案した協同作業でなければ、病院の組織広報は目的を達しません。漠然と「より良い関係を維持する」と考えるのではなく、関係の中味、形、双方のメリット・デメリット、構築への段階等など、常に関係を管理することが必要です。
受信者主体の情報発信が双方向コミュニケーションに繋がる
病院の組織広報は、受信者主体の情報発信であるべきです。 組織広報のツールが、従来のように紙や看板などであれば、経験・技術・コスト面で、一般の人たちは発信そのものに介入し難いものでした。それを様変わりさせたのが、「インターネット」技術です。なかでも、コミュニティサイト「SNS」が登場したことにより、スマートフォンやタブレット、パソコンを通じて、誰でもが、容易に情報を創り、伝える。逆にいうと、情報を手に入れることができる時代になりました。情報ページでは、発信者と受信者の双方向のコミュニケーションも容易に実現できます。 但し、SNSには注意点があります。溢れるほどの情報のなかから、この発信者の情報なら信じられると、受信者に差別化されること。発信者目線ではなく、受信者の視点が大切であり、正しく、エビデンスのある情報でなければなりません。 自院の組織広報を展開するとき、新たな技術やメディア、サービスを、大きく活かすことが得策です。しかしそのためには、関係づくりを管理しなければ、真に価値ある情報を創る、伝えることにならず、結果、病院の組織広報に取り込むことはできません。
SNSを活かし、確実な成果を得るためのPDCAサイクルとは?
組織広報には、SNS活用と、対象との関係づくりのマネジメント能力が必要です。 今日では、多くの人がさまざまな場面でSNSを多用しています。病院の組織広報にもSNSは有意義であり、なかでもそのあり方次第で、他との差別化に繋がります。 それは、対象者とのコミュニケーションを介した関係づくりを、マネジメントする能力です。マネジメントとは、①自院のビジネスモデルを再確認。②セグメンテーション/関係を築きたい対象者ごとの属性を正しく理解。属性ごとのペルソナ(人物像)設定。ペルソナごとに価値ある情報を創る。ペルソナに期待するゴール設定です。 そして、期待どおりの行動のある・なしをチェック。行動がない場合は、流れを分析し修正を図り、適切な情報を再び創り、伝えることで、ナーチャリング(対象との関係を段階的に高める)していく。これらの過程をPDCAサイクルとして回していきます。 SNSによる病院の組織広報のゴールは、コンバージョン、すなわち、ペルソナが診察の予約や資料請求、あるいは、自院の専門医セミナー参加申込などのページに移ってくれることです。そのためには最新のICT技術、SNSの導入、病院を挙げての協力体制、そして、専門的なノウハウの蓄積が必要です。
戦略的な病院の組織広報の要は、Public Relation Management
組織広報からPublic Relation Managementへのまとめです。
- ●病院の組織広報は、SNS活用と受信者主体のマネジメントが重要
- ●マネジメントとは、
・セグメンテーション/ペルソナ、価値ある情報、ゴール設定、ナーチャリング - ●PDCAサイクルとして回す
- ●病院の組織広報のゴールは、
・コンバージョン/ペルソナが期待するページに移り行動する - ●最新のICT技術の導入
- ●病院を挙げての協力体制
- ●専門的ノウハウの蓄積
病院の組織広報において、価値ある情報を創り、伝え、対象者との望ましい関係づくりを果たす、という基本は変わりません。但し、ICTといった新しい技術の活用、なかでもコミュニティサイトのSNSがもたらした成果を、病院の組織広報戦略に取り込むには、マネジメント能力があってこそ可能となります。