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更新日:2022年8月5日 526PV
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不整脈の一種である心房細動の治し方 〈高周波カテーテルアブレーション治療〉

発信者
  • 岐阜県総合医療センター 循環器内科
執筆者
  • 割田俊一郎
  • 岐阜県総合医療センター
  • 循環器内科・不整脈科医長

キーワード

不整脈の一種に心房細動があります。心臓は心臓内で発生する電気信号により規則正しく収縮・拡張を繰り返し全身に血液を送るポンプの役割を果たしています。本来、電気信号は心臓を構成する4つの部屋のうちの一つ右心房から発信されますが、右心房以外の場所から発生する異常な電気信号により、心房が細かく痙攣してうまく機能しなくなってしまう状態が心房細動です。
心房細動にかかると、動悸、めまい、息苦しさ、胸の不快感、倦怠感といった症状が表れますが、自覚症状のない方もいらっしゃいます。心房細動そのものは死に直結する病気ではありませんが、放置すると脳梗塞や心不全につながる恐れがあります。
心房細動の治療は、抗不整脈薬を用いた薬物療法が基本でしたが、近年は根治をめざせる治し方としてアブレーション治療が積極的に行われるようになってきました。アブレーション治療には、高周波アブレーション/心筋焼灼術と冷凍凝固バルーンアブレーションがありますが、今回は高周波アブレーション/心筋焼灼術についてお話しします。

心房細動の根治をめざせる高周波アブレーション治療

心房細動を根本的に治す治療法として、近年は「カテーテルアブレーション(心筋焼灼術)」が確立されています。これは、不整脈を起こす原因となっている異常な電気興奮の発生箇所を焼灼(しょうしゃく:焼くこと)するという治し方です。
カテーテルという細い管を太ももの付け根から血管を通じて心臓に挿入し、心房細動の原因となる異常な電気信号を発生させる左心房内の肺静脈周囲を焼灼することで電気的に隔離します。外科的な手術のように胸を開く必要がないので、傷口は小さく、体への負担も少ない、合併症などのリスクも低減されるという利点があります。手術時間は2時間〜3時間程度、全身麻酔で行います。入院期間も通常3泊4日と短期間で退院が可能です。

高周波カテーテルアブレーション治療(心筋焼灼術)の特徴

  • 心房細動の根治ができる。
  • 身体に負担が少ない低侵襲治療。
  • 傷口はカテーテルを挿入するための数ミリ程度。
  • 合併症のリスクが低い。
  • 治療時間は2時間〜3時間で完了できる。
  • 全身麻酔なので術中の痛み、苦痛がない。
  • 短い入院期間(3泊4日)で退院できる。

高周波カテーテルアブレーション治療の流れ

心房細動に対する高周波カテーテルアブレーション治療の具体的な流れをご紹介します。

① 消毒・局所麻酔

シース、カテーテルという検査治療用の細い管を挿入する太もも、右首部位を消毒し、局所麻酔をかけます。

② シースの挿入

太ももの大腿静脈、右首の内頸静脈と呼ばれる太い血管からガイドとなるシースという管を挿入します。その後全身麻酔をかけます。

③ 心電図検査用カテーテル挿入

シースを介して心電図検査用のカテーテルを挿入し、心臓内部の心電図を調べて治療が必要な部位を特定します。

④ 治療用カテーテルを挿入し、心房細動の原因部分を焼灼

治療用のカテーテルを挿入し、心房細動の原因部分となる肺静脈周囲を1点ずつ取り囲むように焼灼し異常な電気信号を遮断します。

⑤ カテーテルを抜き取り止血

アブレーションにより異常な電気信号が遮断されたことを確認し、カテーテルを抜き取ります。その後10〜15分ほど挿入部分を圧迫し止血し治療が完了します。

岐阜県総合医療センターの治療実績

岐阜県総合医療センターの循環器内科では、新しい技術と機器を積極的に導入し、カテーテルアブレーション治療の安全性と有効性を高めています。また治療中は必ず、心臓の異常な電気回路を3次元の地図で示す「3Dマッピングシステム」を使用し、手技の精度を高めるよう努めています。近年の治療実績は下記の通りで豊富な治療実績をあげています。

年度 高周波アブレーション(心筋焼灼術)実施件数
2020年度 99
2021年度 107

心房細動の治し方についてのまとめ

最後に心房細動に対する高周波カテーテルアブレーション(心筋焼灼術)のポイントをまとめてみましょう。

心房細動の治し方・高周波カテーテルアブレーション(心筋焼灼術)のまとめ

  • 心房細動は放置すると脳梗塞や心不全につながる危険性があり早期発見・早期治療が大切。
  • 抗不整脈薬を用いた薬物療法が基本だが、近年カテーテルアブレーション治療の実施が増えている。
  • 高周波カテーテルアブレーション(心筋焼灼術)は、心房細動の根治が期待できる治療法。
  • 高周波カテーテルアブレーション(心筋焼灼術)は、身体への負担が少ない低侵襲治療。
  • 高周波カテーテルアブレーション(心筋焼灼術)は、短期入院で早期の社会復帰が望める。

心房細動は、自覚症状が表れづらいケースもあり発見が遅れことも多い病気です。動悸、めまい、息苦しさ、胸の不快感、倦怠感など、少しでも気になる症状があれば、早めにかかりつけの先生にご相談ください。かかりつけの先生が、専門的な検査・治療が必要だと判断された際には、紹介状を持って当院へお越しください。

画像提供:PIXTA