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更新日:2022年7月5日 443PV
病院の〈知識〉を生活者の〈知恵〉へ

小児アレルギー/食物アレルギーの治療法

発信者
  • 岐阜県総合医療センター 小児療育内科
執筆者
  • 金子英雄
  • 岐阜県総合医療センター 小児療育内科 部長
  • 重症心身障がい児施設すこやか 施設長

キーワード

小児アレルギーは、免疫機能が未熟な子どもがなりやすい食物アレルギーや気管支喘息、アトピー性皮膚炎などの「アレルギー反応」を主な原因とする疾患のことです。食物に由来する小児アレルギーの治療において、アレルギー反応を起こす原因食物を食べないことで症状が出ないようにすることが一般的でした。近年は、家庭で安全に摂取できる量をみつけ継続して摂取することで閾値(いきち:アレルギー症状が出る最少の量)の上昇をめざす治療法が基本です。その流れを示します。

食物アレルギー治療の流れ

① 食物経口負荷試験により原因食物の閾値(いきち:アレルギー症状が出る最少の量)を調べます。

② 摂取開始 医師から指示された閾値以下の量の原因食物を家庭で摂取します。

③ 家庭での摂取状況の確認 自宅での摂取状況、血液検査の変化を考慮し、現在の摂取量より増量した負荷試験を予定します。

④ 食物経口負荷試験 現在の摂取量より増量した食物経口負荷試験により原因食物の閾値の増加の有無を調べます。負荷試験で症状誘発が認められなければ(閾値が上昇)、家庭で増量した食物を摂取します。

⑤ 家庭での摂取状況の確認 自宅での摂取状況、血液検査の変化を考慮し、現在の摂取量よりさらに、増量した負荷試験を予定します。この繰り返しで、除去解除量までの増量を目指します。順調に負荷試験をパスできれば短期間で除去解除量まで進みますが、難治の食物アレルギーでは、閾値が上昇しにくく頻回の負荷試験が必要となることもあります。 閾値よりも多くの量を摂取することで、体を慣らしていく方法は経口免疫療法と呼ばれています。「食物アレルギー診療ガイドライン2021」では、経口免疫療法はその注意点や治療の限界、安全性への配慮などの専門的な知識を有する医師が臨床研究として実施することを提案し、食物アレルギーの一般診療としては推奨しないとしています。経口免疫療法は 耐性獲得が難しい食物アレルギーの治療選択の一つとして期待されますが、患者さんや御家族の負担も大きく、臨床経過を十分に検討したうえで行うことになります。

食物アレルギーの注意点

症状が出た場合、すぐ対処できるように、医師から適切な対処法についての説明を受け、常備薬として適切な薬を処方してもらい、救急で受診できる病院を決めておきましょう。摂取によりアナフィラキシー誘発の可能性がある場合にはアドレナリン自己注射薬が処方されます。接種のタイミング、接種方法につき十分に理解しておきましょう。
体調の優れない日や激しい運動をした後などは、原因食物の摂取は控えましょう。アレルギー症状が出やすくなっている場合があります。

食物アレルギー治療のまとめ

今回は小児食物アレルギーの治療方法について解説してきました。最後にもう一度、重要なポイントについておさらいしましょう。

食物アレルギー治療のポイント

  • 食物経口負荷試験で、誘発症状(アナフィラキシーまで出現するのか、軽微な症状なのか)と閾値(摂取可能量)を確認することが重要です。
  • 家庭で安全に摂取できる量が見つけられたら、その量を摂取することで閾値の上昇を目指します。
  • アレルギー症状誘発の可能性があるため、エピペン®を含めた常備薬やその使用するタイミングと使用方法、緊急時に受診できる病院の確保が必要です。
  • 原因食物の摂取量や摂取頻度などは医師からの指示を必ず守ってください。

岐阜県総合医療センターでは、アレルギー専門医の指導のもと、食物アレルギーの治療を行うことができます。お子さまのアレルギー症状でお悩みのある方は、まずはかかりつけ医に相談しましょう。かかりつけ医から専門的な検査・治療が必要だと判断された際には、紹介状を持って当センターへお越しください。

小児アレルギー外来のご案内

  • 血液検査、皮膚試験、食物負荷試験(日帰り入院)にて除去療法の必要性の検討を行っています。
  • 食物依存性運動誘発アナフィラキシーや消化管アレルギーについても負荷試験を行い、診断しています。
  • かかりつけ医の紹介状が必要です。 病診連携室を介して予約をしてください。
画像提供:PIXTA