【知っておきたい地域医療事情】左心耳閉鎖術による脳梗塞予防体制

今回の【知っておきたい地域医療事情】では、「左心耳閉鎖術による脳梗塞予防体制」についてご紹介します。
抗凝固薬が使用困難な心房細動の患者さんに、左心耳閉鎖術で安全な脳梗塞予防を実施しています。
血栓による脳梗塞を予防する左心耳閉鎖術の役割と特徴。
心房細動をお持ちの患者さんでは、心臓の左心耳という小さな袋状の部分に血栓が生じやすく、それが脳へと移動すると脳梗塞を引き起こすリスクがあります。
従来は抗凝固薬を用いて血液をサラサラにすることで血栓を予防していましたが、この薬には出血のリスクが伴うため、特に高齢者や複数の疾患をお持ちの方にとっては服用が難しい場合があります。
そのような患者さんに対し、左心耳を専用デバイスで閉じて血栓形成を防ぐ経皮的左心耳閉鎖術が開発され、近年では、この治療に用いるデバイスの種類も増えており、患者さんの状況に応じた最適な治療を選択できるようになっています。
短時間で負担が少ない手術と安心の術後フォローアップ。
左心耳閉鎖術は、体への負担が非常に少ない低侵襲のカテーテル手術です。手術時間は約1時間と短く、全身麻酔下で安全に行われ、入院期間も通常3泊4日と短期間で済むため、患者さんの身体的負担や精神的ストレスを大きく軽減できます。術後のフォロー体制も万全で、手術から45日目と1年後に経食道エコーまたはCT検査を実施し、閉鎖デバイスが適切に固定されているかを丁寧に確認します。
当センターでは、これに加えて半年後にも中間チェックを設けることで、デバイスの安定性や患者さんの状態を継続的にモニタリングし、安心して治療を継続いただけるよう努めています。
岐阜県総合医療センターでは?
高度な専門医療と総合病院の連携力で、安全・安心・迅速な治療を実現しています。
岐阜県総合医療センターの循環器内科では、3名の日本循環器学会専門医が中心となり、左心耳閉鎖術をはじめとする高度で安全性の高い治療を提供しています。各医師は高度なカテーテル技術に加え、術中の経食道エコーによるナビゲーションにも精通しており、安全かつ正確な治療を実施しています。また、総合病院の利点を最大限に活かし、消化器内科や泌尿器科、脳神経内科をはじめ、各診療科との連携が迅速で円滑です。充実した救急医療体制により、緊急時にも迅速な対応が可能であり、患者さんの安全を常に最優先しています。
地域の医療機関との連携も積極的に行っており、抗凝固薬の処方判断に迷うケースや出血リスクが懸念される患者さんがいらっしゃる場合には、ぜひ当センターへご相談ください。患者さんの安心と安全を徹底的にサポートいたします。
循環器内科
医長
矢ケ﨑 裕人
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