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  • 先天性心疾患(小児)
  • 子供

【小児心臓病・先天性心疾患】生まれつきの心臓病を正しく診断・治療するために。

岐阜県総合医療センターでは、小児循環器内科、小児心臓外科、産科・胎児診療科(産婦人科)、新生児内科、成人先天性心疾患診療科など、赤ちゃんの心臓病に関わる診療科が密接に連携。生まれつき心臓に異常のあるお子さんを一人でも多く救うために日夜努力しています。

どんな検査で 先天性心疾患は見つかるの?

先天性心疾患に対する医療は、生まれてから診断して治療が始まることは少なく、その多くは胎児期(お母さんのお腹の中にいるとき)から始まります。産科医による胎児の超音波検査(胎児心エコー)で発見され、小児循環器内科に紹介されます。胎児の心臓がある程度成長したところで、その大きさや構造をエコーで診断し、治療・手術が計画されます(何週で出産して、生後何日間は内科的治療をして、生後何日で手術をするなど)。

このように当院では、赤ちゃんが生まれる前から注意深く心臓を観察し、いち早く適切な治療に結びつけています。

先天性心疾患の治療法は…。

先天性心疾患は専門治療を行わないと、20~30%は新生児期に、50%は乳児期に死亡してしまうといわれています。岐阜総合医療センターでは内科・外科の双方の知識と経験を結集し、赤ちゃんの命を救うために懸命の治療を行っています。

幸いなことに、医学・医療の進歩で、多くの先天性心疾患は、薬や手術、カテーテルによって治療できるようになりました。治療後の生活の質も向上し、多くの子どもたちが健やかに成長しています。

■先天性心疾患の手術
医学の進歩に伴い、新しい手術器具や技術、強心薬が開発され、子どもの心臓病手術の安全性は非常に向上しています。

たとえば、心室中隔欠損や心房中隔欠損に対しては、人工心肺を用いて一時的に心臓を止めて手術します。心臓を止めた後、胸を切開して心臓の中を観察し、穴が小さい場合は直接縫い閉じ、大きな場合はパッチと呼ばれるあて布を穴の部分に縫いつけます。

当院の小児心臓外科では、例年多くの症例重ねています。(2020年度実績:心房中隔欠損閉鎖術+心室中隔欠損閉鎖術=32例)


■先天性心疾患のカテーテル治療や薬物療法
当院では、赤ちゃんの心臓病に対するカテーテル治療も積極的に行っています。カテーテル治療は足の付け根の静脈や動脈などから、カテーテルという細い管を通し、心臓の狭いところを広げたり、穴をふさいだりする治療です。胸を切開して心臓を一時的に止めるリスクがなく、痛みが少なく、入院期間も短くなるなどの利点があります。

小児循環器内科では、血管拡張術、心房中隔欠損閉鎖術をはじめ、豊富な症例を手がけ、良好な治療成績を上げています。

大切なのは小児から成人まで見守ること。

救われた命はいずれも成人になります。完全に医療を必要としない人もいれば、医療を必要とする人もいます。年老いるまでの間にまた医療が必要となる人もいます。当院では国内でも先がけて「成人先天性心疾患診療科」を開設し、成人期になった患者さんをサポートしています。

胎児期から、生まれて、治療を受けて学校に通い、成人になり、就職や結婚を経て子どもを育て、やがて年老いるまで---。心臓病を持って生まれてきた人の人生をずっと支えていくために、当院では小児循環器内科、小児心臓外科、産科・胎児診療科(産婦人科)、新生児内科、成人先天性心疾患診療科などによる総合的な医療体制を構築しています。


参考文献・出典など
岐阜県総合医療センター
日本心臓財団「子どもの心臓病とは」

画像提供:PIXTA