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脂漏性皮膚炎の治し方は? 短期間での治療には「外用療法」
- 発信者
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- 岐阜県総合医療センター 皮膚科
- 執筆者
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- 永井美貴
- 岐阜県総合医療センター 皮膚科・部長
キーワード
脂漏性皮膚炎は、頭皮や顔回りが赤く炎症を起こしたり、かゆみやフケの症状が出る病気です。かゆみやフケが長引くと日常生活にも支障が出てしまうため、早めの治療が必要です。
脂漏性皮膚炎の治療方法は大きく分けて「外用療法」と「生活習慣の改善」がありますが、症状が悪化している場合、根本的な治療のためには外用療法が必要不可欠です。外用療法では、主にステロイド外用薬や抗真菌薬が用いられ、軟膏・クリーム・ローションタイプなど患部に応じて使い分けができるため、効率的な治療を行うことが可能です。
今回は、脂漏性皮膚炎の外用療法について、詳しく解説していきます。
脂漏性皮膚炎の症状を短期間で緩和できる「外用療法」
脂漏性皮膚炎の治療方法には「外用療法」と「生活習慣の改善」があります。症状が軽度な場合は生活習慣の改善だけで症状の緩和が期待できますが、症状が軽度でない場合は外用療法による治療が必要となります。では、外用療法を行うことでどのようなメリットがあるのでしょうか?
外用療法を行うメリット
- ●短期間で症状の緩和が期待できる
- ●患部や症状の程度によって使用する薬を使い分けられる
- ●かゆみを速やかに抑えられる
- ●症状の再発を予防できる
- ●フケやかゆみなど、日常生活への支障が出る要因の除去
外用療法で主に用いられる薬は
「ステロイド外用薬」「抗真菌薬」「抗ヒスタミン薬」
外用療法では、患部や症状の程度に応じて、いくつかの薬を使い分けます。外用療法で用いられる薬の種類と、それらの薬の特徴やどのような場合に使用するかは以下の通りです。
〈ステロイド外用薬〉
皮膚の炎症を抑える薬です。通常は軟膏タイプを使用しますが、頭皮などの軟膏を塗ることが難しい患部にはローションタイプを使用することもあります。 また、ステロイド外用薬は患部によって吸収率が異なるため、患部や症状の程度によって使用するステロイド外用薬の強さや使用頻度を調整します。 ステロイド外用薬を顔面などに使用する場合、皮膚の萎縮や毛細血管拡張などの副作用を懸念し外用を躊躇するケースがありますが、医師の指示のもと、正しく使用すれば副作用のリスクを大幅に下げることができます。
〈抗真菌薬〉
脂漏性皮膚炎の原因に深い関係があるマラセチア菌(皮膚の常在している真菌/カビの一種)の活動を阻害する薬です。ステロイド外用薬ではありませんので、皮膚の委縮などのステロイド外用剤特有の副作用を生じません。そのため、比較的軽症な場合や、症状が落ち着いた後に再発の予防を目的として使用されることが多いです。
抗真菌薬にも、軟膏タイプやローションタイプなど、いくつかのタイプがあるため、患部によって使い分けることができます。
最近は、ミコナゾール入りのシャンプー類も市販されており、日常のスキンケアとして使用されるケースもあります。
しかしどの外用剤でも必ずしもかぶれないとはいいきれません。外用をして、かぶれなどの違和感を生じた場合は、かかりつけ医に相談をしてください。
外用剤で掻痒が抑えられない時は、抗ヒスタミン薬を内服することもあります。
抗ヒスタミン薬の中には眠気やだるさの副作用があるものもありますが、最近では副作用のないものもありますので、医師と相談して適切な抗ヒスタミン薬を使用するようにしましょう。
脂漏性皮膚炎の治し方「外用療法」の総まとめ
今回は脂漏性皮膚炎の外用療法について解説してきました。最後にもう一度、重要なポイントについておさらいしましょう。
外用療法のメリット・利点
- ●外用療法によって短期間での症状の緩和が期待できる
- ●さまざまなタイプの薬を症状や患部によって使い分けることができる
- ●医師の説明を受け正しく外用剤を選択し、使用することで副作用のリスクを大幅に下げることができる
- ●フケやかゆみによる日常生活への支障をなくすことができる
岐阜県総合医療センターでは、専門医が患者さまの容態に応じて、適切な外用療法を処方しております。脂漏性皮膚炎についてお悩みをお持ちの方、フケや赤み、かゆみなどの自覚症状のある方は、まずはかかりつけ医に相談してください。かかりつけ医から専門的な検査・治療が必要だと判断された際には、紹介状を持って当センターへお越しください。