更新日:2022年7月11日 183PV
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【Cure病気のおはなし】摂食嚥下障害と誤嚥
- 執筆者
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- 矢野陽子
- みよし市民病院 耳鼻咽喉科 部長
キーワード
病気に繋がる嚥下障害と誤嚥。軽症段階での治療と予防が、健康寿命を引き延ばします。
よくむせる、食事の後に声がれ……飲み込む機能の低下のサインかもしれません。
最近、水分を取るときによくむせる、食事の後、声がかれることなどはありませんか? 高齢になって、身体が老い衰えてきたり、筋肉量が減少、筋力が低下してくると、食べる力、飲み込む力も低下してきます。 飲食物を咀嚼し、飲み込み、胃まで送り込む一連の動作のことを摂食嚥下と言い、その機能が障害されることを摂食嚥下障害と言います。 本来であれば食道に送られる飲食物や唾液が、間違って気管に入ってしまうこと(誤嚥:ごえん)により、身体が弱っている方や高齢者では、誤嚥性肺炎を引き起こしやすくなります。
予防に力点をおいた治療を、多職種と連携して提供します。
摂食嚥下障害の主な原因は、加齢の他にも、口腔・咽頭・食道がん、また、脳卒中や認知症などが原因の場合もあります。そのため原因を特定し診断するのが、「喉」を専門とする耳鼻咽喉科です。
当科では、まず診察を行い、続いて、嚥下内視鏡検査、必要に応じて嚥下造影検査などを実施。飲み込む力の状態や、喉に何らかの疾患がないかといったことを確認します。
嚥下障害と診断した場合は、いち早く看護師・言語聴覚士・管理栄養士といった多職種と連携し、食事形態の工夫や食べ方の改善、栄養指導、トレーニング、口腔ケアなどを実施します。軽症の方は、誤嚥による肺炎を引き起こさないように、一度でもなったことのある方は、再発させないようにと、予防に力点をおいた治療を提供していきます。