【療養支援のおはなし】転倒予防と骨折
今回の「Care療養支援のおはなし」は「転倒予防と骨折」についてご紹介します。
転ぶリスク評価からスタート。過信せず、怖がらず、 生活のなかで運動量を増やす。
大腿骨骨折治療に大切なのは、二次骨折をいかに予防するか。
高齢になると、転倒による骨折が増えてきます。加齢とともに、運動能力や筋力の低下、そしてその背景として、骨粗しょう症により骨がもろくなっていることが大きな原因です。
高齢者に多い骨折部位は、大腿骨頸部(太もものつけ根)、手首や背中、肩など。なかでも大腿骨頸部骨折は、立つこと、歩くことができなくなり、最悪の場合、寝たきりや要介護になるというリスクがあります。
加えて、反対側の大腿骨骨折や、その他の骨折を起こす二次骨折にも注意が必要です。そのため骨折の治療だけではなく、骨粗しょう症の治療も行うことが肝要となります。
骨粗しょう症の治療では、 総合的評価による機能訓練を実施。
当院では、大腿骨骨折の手術をした方、また、術後の回復期にある方には、継続的な骨粗しょう症の治療を行っていますが、そのなかの一つに、リハビリテーション課が実施する、二次骨折予防の取り組みがあります。
最初に行うのは、転ぶリスクの評価。アンケート形式の一覧に沿ってお答えいただき(以降、定期的に実施)一定の点数に届くか届かないかを確認します。また、運動機能だけではなく、飲んでいる薬の量、視野の範囲、認知面、さらには、生活背景や環境(自宅内の様子を確認)などもお聞きし総合的に評価して、機能訓練を進めていきます。
退院の際には、指導を行い、ご自分の運動機能を過信せず、反対に、怖がらず、お一人でもできる運動の啓発、予防意識の向上を図っています。
【Message】ノルマではなく、日々のなかに運動の機会を創る
ご自宅では、活動量を落とさずに生活していけるのが、一番良いことです。とはいえ、「毎日、これらの体操を頑張るぞ」という、いわば体力づくりだけの目標では、自分にノルマを課したようで、なかなか続きません。
そこで意識していただきたいのが、「今日、行く場所がある」「今日、外で用事がある」ということです。例えば、今日は誰々さんに会いに行こう、今日は地域の集まりに出て行こうなど。何か目標があって、その過程が運動になっていれば、それが一番です。
病院で行う機能訓練だけではなく、地域の活動資源をうまく利用すれば、体を動かす機会が増え、気持ちも生き生きと過ごせます。それ自体が本来のリハビリテーションともいえます。ぜひお試しください。
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