【Cure病気のおはなし】胆石症
今回の「Cure病気のおはなし」は「胆石症」についてご紹介します。
胆のうや胆管に石ができ、さまざまな症状を引き起こす病気です。
胆汁の成分が結晶化して胆石に。
私たちの体は、脂肪の消化を助けるために、肝臓で胆汁(消化液)が分泌され、胆のう管から胆のうへ送り込まれ貯蔵されます。そして、食べ物が胃から十二指腸に入ると、胆のうが収縮し、胆汁は総胆管から十二指腸へ分泌されます。
この胆汁の成分が結晶化したもの(結石)が胆石で、胆のうや胆管にできると、胆汁が分泌されるとき激しい痛みなどを引き起こします。その痛みはみぞおち付近だけでなく、肩や背中まで広がるのが特徴で、吐き気や黄疸が出ることもあります。発作が起きやすいのは、脂っこい食事をした数時間後などです。
胆石症になると急性膵炎や胆管炎、急性胆のう炎などに。
胆石症になると、さまざまな病気を引き起こします。たとえば、胆石が膵液の十二指腸への流れを妨げると「急性膵炎」を発症し、非常に危険な状態になることがあります。また、胆石が引っかかって胆汁の流れが滞ると、胆のうや胆管が細菌に感染しやすくなり、「急性胆のう炎」や「胆管炎」になることがあります。軽いうちは抗生物質の服用で良くなりますが、ひどい場合には胆のうが腐って破れ、「腹膜炎」や「胆のう周囲膿瘍(たんのうしゅういのうよう)」を起こしたり、総胆管が膿汁で満たされ、細菌が血流に乗って全身をめぐる「敗血症」を併発し、命に関わる場合もあります。
また、胆石をそのままにしておくと、胆のうの壁が硬く萎縮し、「慢性胆のう炎」になることもあります。
【Message】胆石は超音波の検査で簡単に見つかります。
胆石症で厄介なのは、胆石に関連してさまざまな病気を引き起こすこと。そして、それらの病気は治療が遅れると、命の危険に及ぶことが多くあります。さらに、胆石症になると「胆のうがん」を合併することも多くありますから、早く見つけることが大切です。
幸い、胆石は超音波検査で簡単に見つけることができます。早期に診断し、適切に治療すれば、上部で述べたような危険な合併症のほとんどを回避することができます。なお、痛みを伴う胆石症の治療法は、胆のう摘出術が第一選択になります。当院では患者さんのご希望に合わせて近隣の高度急性期病院を速やかにご紹介しています。食後しばらくして、みぞおち辺りに痛みを感じるようであれば、お気軽に外来を受診してください。