【Cure病気のおはなし】消化器の進行がん
今回の「Cure病気のおはなし」は「消化器の進行がん」についてご紹介します。
切除不能な消化器がんは、化学療法や緩和療法などで生活の質を維持します。
化学療法と緩和療法を並行して進めます。
胃、食道、大腸、膵臓、胆のうなど消化器のがんは早期発見できれば、治癒が見込めます。しかし残念ながら、発見が遅れたり、がんが再発して「切除不能」と判断された場合、化学療法(薬物療法)を行います。化学療法の主な目的はがんの進行を抑え、症状をコントロールすること。近年は有効な抗がん剤がいろいろ開発され、治療効果は以前より高まっています。
また、化学療法と並行し、がんに伴う身体的・精神的苦しみを緩和する治療も行います。当院では医師や看護師がチームを組んで、患者さんとご家族の苦痛の軽減に力を注いでいます。
ステントを留置し消化管・胆管の閉塞を解消する治療も行います。
がんが進行すると、消化管が狭窄(狭くなること)を引き起こすことがあります。食道や胃が閉塞すると、嘔吐を感じたり、食事が取れなくなったりします。また大腸が閉塞すると、腸管内に便や腸液やガスなどがたまり、腸管の壁に穴があいてしまう危険性もあります。
こうした状態を解消するために、当院ではステント留置を行っています。これは内視鏡を用いて、閉塞したところにステント(金属製のメッシュ構造をした筒状の医療器具)を運び、留置するもの。食道、胃、膵臓、胆のう・胆管の場合は口から、大腸の場合には肛門から内視鏡を用いて留置します。ステントの留置後は、以前と同じように食事が食べられるようになり、生活の質を保つことができます。※当院では、大腸内視鏡検査に従事する医師5人全員が内視鏡専門医であり、安心・安全な検査を提供するように努力しています。
【Message】患者さんの人生に寄り添い、より良い医療をめざします。
切除できない進行がんや再発がんの治療で重要なのは、患者さんの生活の質を保つことです。当院では、化学療法や緩和療法を中心に、体や心のつらさをできる限り取り除くお手伝いをさせていただきます。内科にはベテランの医師がそろっていますから、内視鏡を用いた精緻な治療も、新しい知見に基づく抗がん剤治療も安心してお任せいただきたいと思います。
また、がんの終末期までずっと支えることは、私たち市民病院の大きな役割だと考えています。患者さんそれぞれの生活やご希望にしっかり耳を傾けながら、ご本人とご家族が少しでも安楽に過ごせるよう努力しています。これからも地域の訪問診療を担う先生や看護師の方々と連携し、在宅療養している方々を精一杯支えていきたいと思います。